前に、ミニレディー百科シリーズの「世界のおかし作り」という本をご紹介しました。(その記事はこちら)
今は入手困難な古書なので図書館で借りて読んでいるのですが、その際に気になったレシピがあるのです。
それは、リヒテンシュタインという国の「エープリルクグロフ」というお菓子。
一般的なクグロフを魚の型(西洋ではエイプリルフールに魚のお菓子を焼く文化がある)で焼いたものなのですが、この作り方が独特で……。
ドライイーストで中種を作り、それを他の材料と混ぜて発酵させて作るのですが、なんと、中種を発酵させる際「お湯に沈める」と書かれているのです。
著作権の問題などもあり、そのページを載せることはできませんが、その方法に則って実際に作ってみました。
リヒテンシュタインのエープリルクグロフ
本来は魚(鯖だそうです)の型で焼くお菓子ですが、普通のクグロフ型で作ります。
うちの型の方が小さく、生地が少し余ってしまったので、カヌレ型に余りを入れて焼きました。
小麦粉、砂糖などの量は書籍のレシピそのままですが、使用するイーストが書籍ではインスタントではないドライイーストなので、これをインスタントドライイーストに差し替えています。(量も半分以下に減らしています)
イーストは耐糖性のものを使ってみます(3g入り金サフ小袋を2つ入れました)
しょっちゅう甘いパンを焼く人は125g入りの方が割安です。
また、使用するドライフルーツも変更しています。
何かに入れようと思って買っておいたもの。
いちご、キウイ、パイン、マンゴー、メロン、パパイヤのミックスで、彩りもきれいです。
材料(16cmクグロフ型1個+カヌレ型4個分)
【中種】
強力粉 60g
牛乳 70g
砂糖 5g
インスタントドライイースト(金サフ) 6g
強力粉 170g
バター 90g(室温に戻す)
全卵 1個(〃)
卵黄 2個(〃)
粉砂糖 75g
バニラオイル 少々
ドライフルーツミックス 80gくらい
レーズン 40g
刻みオレンジピール 30g
刻みアーモンド 40g
ドライフルーツは全て合わせて温めたブランデーをまぶしておきました。
作り方
- 中種を作ります。40℃くらいに温めた牛乳に砂糖を溶かし、インスタントドライイーストを振り入れてぷくぷく泡が出るまで置く。
後で考えると、予備発酵不要のインスタントなので、この工程はいらなかったかも。
↓ほんの10分くらいでモリモリと泡が……。
↓ここに中種用の強力粉70gを振り入れ、ひとまとまりになるまでヘラで混ぜる。
- 40~45℃の湯をたっぷり用意し、1の中種を沈めて、浮き上がるまで待つとのことですが……。
↓
最初から浮いているんですが……。
とりあえずこのまま次の工程まで置いてみます。 - 中種を発酵させている間、ポマード状にしたバターと粉砂糖を、白っぽくなるまで泡立て器で混ぜる。
- 白っぽくなったら溶きほぐした全卵+卵黄を3回くらいに分けて混ぜ込む。パウンドケーキなどよりも卵が多く、かなり緩いです。
- 4に強力粉を加えてひとまとめにする。
ここまで作って、あ、この方法はシナモンロールなどに使われるベーシックドウ法では?と思い出す。この方法だとグルテンができず、ふわふわのパンが焼けるんですよね。 - 中種をお湯に入れて15分くらい経過しました。
な、なんか溶けてない?!発酵のせいか、水分を吸ったのか、大きくなって変形しています。また、表面からはぷくぷくと泡が絶えず出ている。発酵がかなり進んでいることがわかります。
かなり柔らかく、手で取り出すことができないので、網杓子ですくって5の生地と合わせ、こねます。
しかし生地が緩く、手ごねは無理……。仕方なくHBのパンケースに入れてこねますが、それでもしっかり混ざるまで時間がかかりました。
↓
これ本当に大丈夫なの……? - 6の生地をボウルに移し、2倍くらいになるまで室温に置く。
↓45分後
日差しの関係で色が変わっていますが、45分しか経過していません。しっかり発酵するのはさすが耐糖性イースト……。 - 7の生地をヘラでパンチしてガス抜きし、ドライフルーツとアーモンドを混ぜ込む。
- むらなく混ざったら、油を塗ったクグロフ型、カヌレ型に生地を流して、型の半分くらいの高さから型の9分目くらいになるまで室温で二次発酵。
↓30分後
- 170℃に予熱したオーブンで30分焼いて、できあがり。
カヌレ型の方はしっかり焼けていて型崩れしませんが、クグロフ型の方はちょっと崩れてしまった。もう10分くらい長く焼いても良かったかもしれない。内側の油が少なかったのか、表面が荒れたところも……。
本当は焼き上がりに溶かしバターを塗って粉砂糖を振るのですが、カロリーとコストを下げるために省略……。
意外とちゃんとできたけど、味はどうなの?!
断面を見ると、火はちゃんと通っているようです。
一切れ頂きます。
いちごとキウイの色が見える。かわいい色合い。
あんなにユルユルの生地だったのに、ちゃんと膨らんで気泡が入っている。
インスタントドライイーストが多いせいか、イースト臭が強いですが……。
甘さとバターの感じがちょうどいい!
クグロフってケーキよりもパサパサしている印象がありましたが、これはバターも卵も多いのでパウンドケーキに近い。
生地がユルユルだったのが功を奏したのか、リッチな味です。
今回は型離れが悪いところがあって崩れてしまいましたが、大きく焼いてちゃんと型から外せば、贈り物にもいい豪華な見た目です。もちろん粉砂糖を振ってね!
カヌレ型で小さく大量に焼いてばら撒き用にしても良さそう。
お湯に沈める中種レシピは他では見ない
今回はクグロフを作るためというよりも、お湯に沈めて中種を発酵させる方法を試してみるのが目的でした。
最初から生地が浮いていたり、お湯を吸って生地が溶けてしまったり……と、本の通りにはいきませんでしたが、それでも美味しく焼くことができました。
とは言え、お湯に入れない方法とどう違うのかはわからず。入れておく時間で水分量も変わりそうですしね。
リヒテンシュタインではこの方法で作るのだろうか……?謎。
今のところ、お湯に沈めて作るパンやお菓子のレシピはこれ以外で見たことはありません!
今度、別なパンでやってみよう……。
ということで今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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