前回の紫蘇入れから1か月近く経過したところで、やっと土用干しできそうな気候に恵まれました。
今年の札幌は曇天、雨天の連続でしたが、何とか土用干しを完了させることができました。そんな記録です。
土用干し日和とは
土用干しというと梅だけではなく衣類などにも使う言葉ですが、ここでは言うまでもなく梅干しの話。
文字通り、土用の好天が続く時期を狙って梅を干し、紫外線の作用で色や香り、食感などを変化させる作業を指します。
そうそう、土用は年に4回ありますが、もちろん夏土用に行う行事です。
梅の土用干しは、土用入りしているならいつ干しても良いというわけではありません。日差し、特に紫外線が強く、雨の心配のない日を狙う必要があります。
私が目安としているのは、天気予報サイトなどがお知らせしてくれる「洗濯指数」。この洗濯指数が90~100のときを狙うとよく干せると実感しています。
気温ばかり高くても洗濯指数が低い時は、日差しも弱いです。
こんな洗濯指数が高い日が3日続くタイミングを狙って梅を干すのが一般的なやり方です。
三日三晩干す必要は無いと思っている
土用干しは三日三晩、夜は夜露に当て……と色々な本に書いてありますが、個人的にはカラカラに干せた梅よりも水気が残るくらいのしっとり梅が好きなので、三日三晩も干したら干しすぎなのでは……と思っていました。
ある年からは、1~2日干せばいいや!と割り切って、梅の具合を見ながら日数を減らしたりしています。
今回は念のため晴天が二日続く日を選びましたが、結果的に丸一日干して完了、ということになりました。
では干していきます
干し始めから完了までの手順を、自分のやり方に沿って書いていきます。
本や有名指南サイトと異なる点もあるかもしれません。でも、このやり方で十分に美味しく出来上がると思っています。
今回は一日で干し上げているので、夜に梅酢に戻す作業を行っていません。
この作業により色ムラが無くなりますが、なんせ強塩分の梅なので、色と一緒に塩気もプラスされそうな気がしまして、省略しています。
本当なら2日以上干し期間を取り、夜露に当てるか梅酢に戻すかした方が正統派の梅干しになるはず。
早朝、梅を並べる(5:00~)
土用干しを短期間で終わらせる代わりに、早朝から干し始めます。
この日は5時起床。うちのウッドデッキは6時くらいから直射日光が入り始めるので、それより前に設置したいからです。
一ヶ月前の紫蘇入れから納戸に放置の梅の樽。今年は気温が低めの夏だったこともあり、カビなどの兆候は全く見られませんでした。この梅をザルに並べていきます。
今年は大小合わせて7kgくらいの梅を仕込んでいます。この量なら直径50cm程度の盆ザル2枚が丁度良い。
盆ザルの他に、除けた赤しそを入れておくザル(金属以外推奨)を用意しておきます。
並べ終わるとこんな感じ。真ん中の黄色い梅は、紫蘇入れ前に分けておいた白梅干しです。
これともう一枚、下の段に梅が並んだ盆ザルがあります。
紫蘇は一緒に干してゆかりにしても良いのですが、湿ったままでも冷蔵庫保管できます。
今回は秋に紅生姜を作る予定なので、それまで冷蔵庫で湿ったまま待機させます。
梅酢は、夜に梅酢に戻すなら樽に入れっぱなしにしておきますが、今回は一日で干し上げたので清潔なペットボトルに入れて保管。
こちらも秋の紅生姜に使います。
外に干し始める(5:30~)
この盆ザルを外(うちは南向きのウッドデッキ)に置きます。地面に直置きでない方が気分的に安心。
雲一つない天気ですが、早朝5時半、まだ太陽はお向かいの家に隠れている時間帯。よって、まだウッドデッキは日陰になっています。
このまま太陽が昇るのを待ち、時々ひっくり返しながら一日干し続けます。
ちなみに、うちの近隣は結構カラスが来るのですが、なぜか梅干しには絶対に手出ししません。
美味しくないものだとわかっているんでしょうかね。
9:00の様子
干し始めて3時間半後の様子。
日差しはかなり強いですが、まだ風は涼しい時間帯です。
多少表面が乾いた感じになっていますが、まだまだ。色も渋め。
紫蘇入れの時にも書きましたが、今年は一般的な紫蘇梅よりも紫蘇の量を少なくしています。
そのせいか、あまり染まっていない梅も結構あります。売り物ではないのでこの染まりムラも味のうちと捉えています。
全てを一度ひっくり返しておきます。
12:30の様子
干し始めから7時間。正午を過ぎた12時半の様子です。ここまでに3回くらいひっくり返しました。
撮影する手の影がくっきり。かなり日差しが強いとわかりますでしょうか。
表面がかなり乾き、小さい梅がもう塩を吹いたようになっています。大きい方は、たまにヘタのところから浸出液を出している梅がいて、液が固まってザルにくっついているのでひっくり返す時に注意が必要。
色ムラはありますが、染まりが良い梅は鮮やかな赤色に変わってきています。これが紫外線の効果でしょうね。
これ以降、うちのウッドデッキは日陰に入る時間帯なので、置き場所を台ごとずらしておきます。
15:30 取り入れ
15時半、干し始めから10時間くらい経過するとウッドデッキは全て日陰になります。
この時点で、もういいだろうと判断して取り入れ。
素人判断ですが、基準は皮がしっかりし、干す前にジュルジュルだった果肉が多少締まり、逆に固かった部分がフニッとしてきたら完了としています。
大きい梅は色も質感もおおむね良好。つまんでも破れないけれど、お箸などで簡単に崩せる固さです。
果肉はジュレのようにジューシー。これくらいが好きなんです。
実は今回、小さい梅はなぜかガチガチの仕上がりになってしまいました。梅そのものが悪かったのか、漬け方の問題か……。
見るからに固そうでしょう?でも、カリカリ梅というほどではなく、セミドライのアンズみたいな食感。味は悪くないです。
白梅干しはちょっとまだフレッシュ感が残る色味ですが、質感は干せている感じだったのでこれも干しあがりとします。
あまり美味しくなさそうな色ですが、これは保管していくうちに色が渋くなってくるはず。
瓶やタッパーに入れて保存
出来上がった梅は洗って消毒した瓶、タッパーなどに入れて保管します。保存場所は常温で問題ありません。
小さい梅干しは毎日のお弁当に入れるので、取り出しやすいタッパーで。この方がちょいとつまみやすいですしね。
大きい紫蘇梅は大瓶に入れ、食べる分だけ小分け容器に移し、食卓に出しやすいようにします。
白梅干しの瓶(小)は金属蓋ですが、内側が樹脂でコーティングされているのでしばらくは腐食の心配はないでしょう。すぐ食べちゃうし。
塩分が多めなのでこの段階では塩を吹いているものもありますが、容器に入れて一日置くと内側から水分が出てしっとりしてきます。
その水分が蜜のようになって梅を覆い、百貨店で見かけるような濡れた梅になってくるのです。
梅干しの食べごろは……?
強めの塩と紫蘇だけで漬けた梅干しは半永久的に保存できます。
ですが、寝かせれば寝かせるほど美味しいものではないようです。
有名梅干し指南サイトにもありましたが、食べごろは干し上りの3カ月後くらいでしょうね。
実際食べ比べると、これくらいが塩がなじみ、梅のフレッシュな風味も消えていない頃合いだと思いました。
個人的には、干しあがってすぐの梅干しも好きです。しょっぱーい!と声に出したくなるくらい塩が尖っていますが、梅や紫蘇の香りが一番強くてこれはこれで魅力的。
土用干しの日には必ずいくつかつまみ食いするもんね。塩分補給にもなります。
前年の梅は料理に、今年の梅はそのまま食べる
今年もたくさん梅を漬けましたが、前年までの梅もまだ結構あるのです。
これらは紫蘇の色も渋くなり、茶色くなって香りもひなびた感じになってきています。
なので、これらの古い梅は料理に使おうと思います。
今回の梅はそのまま食べたり、おにぎりに入れたりと、その味を直接味わえる食べ方をする予定です。
次の梅仕事(に含まれるかどうかわかりませんが)は、副産物の赤梅酢を使用した紅生姜作りです。
本当は初夏にやる仕事ですが、実は今、自宅の畑で生姜栽培にチャレンジしているのです。
これがうまく成長したら、完全自家製の紅生姜が作れる……!
ということで梅干し作りはこれで完結です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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