北海道の道路脇なんかでも見かける「ふき」。街でも見かけるくらいですから、山に行けばもう文字通り山のように生えています。
正式名称は「アキタブキ」という種類だそうですが、これは道端産よりも山、特に水辺に行って採ってきたものの方が柔らかくて美味しいです。
私もたまに採りに行きますが、あまりにも食べごろのやつが多すぎてついつい採りすぎてしまうんですよね。そして大量消費に頭を悩ますというのの繰り返しです。
でも、ふきはちゃんと下処理すれば癖も無く、どんな味にもなじむので料理の難易度も低いです。
今回はふきの大量消費と、生ぶきを下ゆでする方法をご紹介します。
ふきの下処理法
ふきは採ったらすぐゆでる!でないとアクで切り口が真っ黒に染まってしまいます。
また、葉は邪魔なので採取したらすぐにその場で落としてきましょう。
- 家で一番大きな鍋に湯を沸かしておく。できれば、ふき1本がはみ出さずに入る大きさの鍋を用意して下さい。
- ふきはしっかり洗って鍋に入る長さに切る。あまり細かくすると後で筋取りするのが大変なので、なるべく長いままがいい。
- ふきをまな板の上に並べ、たっぷりの塩で板ずりする。(アクを浮き出させるための作業なので、塩はけちらずたっぷりと!)
- お湯が沸いたら、塩がついたままのふきを入れてお湯に全て沈め、5~8分ゆでる(太さによって変わりますが、ピンとしていた茎が弓なりにしなるくらいが目安)
- ゆであがったら冷水で冷やす。
- 冷えた傍から皮剥きと筋取りをする。根元の方(太い方)からバナナの皮をむくようにぐるりと外側を剥き、皮の端を持って一気に下まで引っ張るときれいに剥ける。
- 今度は細い方から同じく皮をぐるりと剥き、やはり一気に下に引っ張って剥く。この往復運動をしないと筋が残ってしまう。
- 剥いたふきは新たに用意したきれいな水に浸しておく。1時間くらい浸してから調理します。水に浸った状態なら4~5日もちます。
ゆで加減は好みで調節して下さい。固めにゆでるとシャキシャキと食べられますし、柔らかめにすると口当たりが優しくなります。
ふきのきんぴら
ふきを頂いたら、必ずと言っていいほどきんぴらにします。ご飯に合い、日持ちもするので常備菜として優秀なんですよね。
【材料/4人分】全量 247kcal 1人分62kcal
ふき 300g 24kcal
醤油 大さじ2 26kcal
砂糖 大さじ1 35kcal
みりん 大さじ1 42kcal
ごま油 大さじ1 120kcal
鷹の爪 1本
【作り方】
- ふきは太いものなら1cm幅の斜め薄切り、細いものなら5cm長さに切る。
- 鍋かフライパンにごま油を熱し、ふきを炒める。油が回ったら醤油、砂糖、みりんを入れてからめる。
- ふきから水分が出てくるので、その水分を飛ばすように炒りつける。
- 汁が煮詰まってきたら種を取った鷹の爪を入れて軽く炒めてできあがり。
鷹の爪は最初に入れるとかなり辛くなります。きんぴらごぼうと違って、あまり辛くするとふきの味がわからなくなるので最後に入れて軽く辛さを出せるようにしています。
熱々よりも冷めてからの方が味がなじんで美味しいです。冷蔵庫で3~4日持ちます。
ふきの青煮
青色を消さずに上手に下ゆでできたら、その青を活かして翡翠色の煮物にすると上品なおかずになります。
【材料/4人分】 全量 109kcal 1人分 27kcal
ふき 300g 24kcal
砂糖 小さじ2 24kcal
薄口醤油 大さじ1 10kcal
みりん 大さじ1 42kcal
塩 少々
かつおだし カップ1.5 9kcal
【作り方】
- ふきは5cm長さに切る。
- 鍋にかつおだしと調味料を入れて沸騰させる。
- ふきを一気に入れ、落し蓋をして5分ほど煮てそのまま冷ます。
- 食べる時に温め直すか、冷たいまま食べる。
ふきには火が通っているので、汁でさっと煮た後はそのまま冷まして味を含ませます。
ちょっと甘めの味付けなんですが、冷やしたものを汁ごと頂くとふきの風味が活きて美味しいです。
新鮮で香りの強いふきを使うなら、濃いめのかつおだしが合うと思います。でも、だし汁やら調味料やらを用意するのが面倒なら、白だし+みりんでも同じような味になります。
ふきと油揚げのご飯
大量消費ではないのですが、旬のシャキッとした固ゆでのふきがあるなら是非作ってほしいご飯。揚げが入るとコクが加わります。
【材料/4人分】 全量 1264kcal 1人分 316kcal
米 2合 1068kcal
ふき(細め) 200g 16kcal
小揚げ 2枚 116kcal
薄口醤油 小さじ2 8kcal
酒 大さじ1 16kcal
みりん 小さじ2 28kcal
塩 少々
かつおだし カップ2くらい 12kcal
【作り方】
- 米は研いで30分浸水し、ざるにあげておく。
- ふきは1cm幅の小口切りにする。
- 小揚げは熱湯で油抜きし、1cm×2cm程度の短冊切りにする。
- 炊飯器に米とふき、油揚げを入れ、調味料を入れてかつおだしを内釜の2合の線のところまで入れて通常炊飯してできあがり。
ふきに下味を付けないあっさり炊き込みご飯ですが、じんわりした風味と美味しさが春を感じさせます。あれば木の芽をあしらうと香りも彩りもきれいですね。
これは是非、歯応え十分なふきを使って下さい。シャキシャキした歯触りは他の炊き込みご飯では楽しめません。
ふきとニシンのみそ煮
うちの実家でよく出ていたおかず。身欠きにしんって普通の家でも頻繁に食べるのかしら?
【材料/4人分】 全量 346kcal 1人分 87kcal
ふき 300g 24kcal
身欠きにしん 1本 160kcal
味噌 大さじ2 70kcal
砂糖 大さじ2 70kcal
醤油 小さじ1 6kcal
酒 カップ1/4 16kcal
水 適量
【作り方】
- 身欠きにしんはカチカチのものなら一晩米のとぎ汁に漬けて戻しておく。ソフトタイプならさっと洗ってそのまま使う。
- ふきを5cm長さ、身欠きにしんは3cm幅に切る。
- 鍋に身欠きにしんとふきを入れ、酒とかぶるくらいの水を入れて火にかける。
- 沸騰したら味噌、砂糖、醤油を溶き入れ、落し蓋をして弱火で煮る。
- 汁が煮詰まってとろりとしてきたら出来上がり。
時間がかかる料理ですが、にしんのうま味と甘じょっぱいみそ味がふきに染み込んでご飯にピッタリのおかずになります。
出汁を取った後の昆布を食べやすい大きさに切って一緒に煮ても美味しい。
それでも余ったら……ふきの塩漬け
ふきは塩漬けで1年くらい常温保存できます。ただ、大量の塩とちょっとした手間がかかります。
- タッパーや樽などの底に塩を振り、ゆでたふきを重ならないように並べる。
- 上からさらに真っ白になるくらい塩を振り、次のふきを重ねる。
- これをふきが無くなるまで繰り返し、最後は塩で埋めるようにし、その上から重石をして1カ月冷暗所に保存する。
- 一カ月後、ふきから水が出ているのでそれを捨て、軽く水で洗って1~3と同じようにして塩漬けにする。一番上に来ていたふきが底に来るように(上下がひっくり返るように)漬けるのが品質を安定させるポイントだそうな。
うちの婆さんはこんなつけもの樽にとぐろを巻くようにふきを入れて漬けていましたね。すごい量だった……。
戻すときは、塩漬けのままさっとゆでてから水に浸して塩抜きします。何度か水を替え、塩気が無くなったら調理できます。
塩の入り具合で所要時間が変わります。うちでは冷蔵庫で1~3日くらいかけています。早く抜きたいときはふきを短く切るといいですよ。
塩漬けは新しいふきよりも色も歯ごたえも悪くなりますが、お正月の煮しめや野菜が高い季節に重宝します。昔の人の知恵ってすごいですね。
ふきは山菜の中でも採りやすく、食べやすい
いかがでしたでしょうか。ふきがメインの大量消費レシピと下処理、そしておまけの保存方法でした!
私は海も山も近い田舎出身なので、この季節はよく祖母宅でふきの皮むきを手伝っていたものです。一気にピューッとむけるのが気持ちいいんですよね。
その祖母から毎年のように塩蔵ふきを頂きますが、やっぱりゆでたての方が美味しいと思うので、結局自分で採りに行ってしまうのです。
ふきの季節は他の山菜よりも長めなので、今家にある在庫が無くなったらまた採りに行こうかなと思っています。たけのこ採りよりも深入りしなくていいのがありがたいですよね。
山に入る時は完全装備して、ダニに気を付けないと!
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