少し前にぼけりんごで天然酵母を起こしたことを書きました。
それからほどなくしてまたりんごを頂いたので、今度はぼける前に天然酵母を起こしてみることにしました。
前回、果肉崩れのせいで十分に発酵させずに冷蔵庫行きになったのが心残りだったので、今回はシュワシュワの発泡が落ち着いて、しっかり底にオリが溜まるのを確認できるまで室温に置いています。
さて、この2つの酵母、パン作りをする際にどんな違いが出るのか気になります。
ということで、一回目のほどほど発酵のりんご酵母液がまだ残っているうちに、新しいしっかり発酵のりんご酵母液と発酵力を比較してみます。
ぼけりんご酵母記事一覧
天然酵母のパン作り一覧
二つの液種の違い
今回比較に使う液種はどちらもりんご酵母ですが、生まれも育ちも違うものを使っています。
液種の仕込みに使う材料はどちらもりんご1個に対し水300ml、きび砂糖20gです。
片方は王林を使い、ぼけていたため途中で果肉がモロモロになり、はっきりとオリが出る前に冷蔵庫にしまってしまったもの。
7日室温(夜間23℃、日中は最高で27℃くらいのところ)に置きました。これでもちゃんとしたパンが焼けることは確認済み。
冷蔵庫でたまに空気に触れさせながら保管。完成から3週間経過しています。
もう片方は、ぼけていない新鮮な「ふじ」を使い、しっかりオリが目視できるまで室温に置いたもの。
やはり23~27℃くらいの環境で、10日置いています。新鮮りんごだからか、それだけ長く置いても果肉がモロモロになることは無く、液体とりんごの固形分がきっちり分かれています。
完成から8時間冷蔵庫に置き、すぐに中種作りに入っています。そういう意味でも新鮮な酵母。そのため、この液種でそもそもちゃんとしたパンが焼けるかは未確認です。
液種そのものの味は、ほどほどに発酵させたぼけりんご酵母(a)の方が甘い気がします。王林だからなのか、それとも酵母が液中の糖を消費しきっていないのか。
新鮮りんご酵母(b)は、甘味は少ないが、若干のアルコールっ気を感じる。やっぱり発酵が進んでいるということですよね。(アルコール過敏症なので、強い度数でなくてもわかる)
これら2つを使い、同じ条件で中種起こしをしてみます。
ジャムやはちみつの空き瓶がたくさんあるのに、つい100均で新しいのを買ってしまった。蓋の花柄がかわいい。
1回目 全粒粉40g、液種40g
「初回は全粒粉」というルールは誰が決めたものなのか……と思いながらの1回目の種起こし。
粉と液種、40gずつ。混ぜ合わせる前、液種を瓶に入れた状態で30分ほど室温に置き、温度を戻しています。液種はしっかり振って、底から混ぜ返して沈殿物が入るように取りました。
aの方が果肉込みのせいか、種が固めです。
14時に観察スタートしました。時計の日付にテープが貼ってあるのは、この時点では記事の更新日がまだ決まっていなかったからです。
17:00、3時間後。
どちらもあまり変わっていない気がする。
b、蓋を開けるとアルコールの香りがする。発酵オーバーさせたパン生地のような……。aからはほとんどしません。
20:00。
aの方の気泡がどんどん大きくなっているのがわかる。bも気泡が出てはいるが、細かく控えめ。
体積もaの方が多いですね、元の量が少ないので差がわかりにくいですが、やっぱり違う。
発酵スピードのほか、時間が経過するにつれ、bの方が緩くなってきているのが気になる。まさか雑菌?
22:43、aの方が倍量に到達したので冷蔵庫に移動。
bは20分遅れの23時ちょうどくらいに倍量(弱)になりました。もう寝る時間なので、ちょっと早いけど冷蔵庫に移動。
なんと、意外にもaの方が倍量に到達するのが速いとは。りんごの鮮度、液種の鮮度はあまり関係ないのか。
このまま翌朝まで冷蔵庫保管し、2回目に移ります。
2回目 リスドォル50g、水50g
1回目の瓶に水とリスドォルを50gずつ。練っている段階で、もう固さに差がある。aの方が固いです。同じ水分量なんですが……。
定位置にセットし、朝8:20スタートです。
11:20。a、好調。bは大きく差をつけられている。
12:45、aが倍量に到達。一抜けです。冷蔵庫行。bはまだまだ、1.5倍強といったところ。
でもbの方が気泡が大きくてボコボコしているんですよね。
bの瓶はそこから約一時間遅れのゴール。でもたった1時間でこんなに育つとは。
一回目と同じく、aの瓶の方が二倍量に達するのが早かったです。
やっぱりaの方が良質な種なのかしら?
でも、bの方が気泡が大きくてぶくぶくしている。同じ粉なのに。この気泡の大きさって関係あるんでしょうか。
これらは冷蔵庫に入れて夜の20時まで休ませます。つまり、aは約7時間、bは約6時間の休憩となります。
3回目 上部を少し除きリスドォル50g 水50g
3回目の継ぎですが、瓶の容量に不安があるので、2つの瓶から前回の種を上の方だけ80g除いて、そこに新しい粉(リスドォル)と水を50gずつ入れています。(除いた種は捨てずにクラッカーにします)
20時前に冷蔵庫から出し、室温に戻すために15分ほど置いてから粉と水を混ぜる。
そして同様に24~27℃くらいのところに置きます。20:15スタートです。
2倍目安の印は、輪ゴムだととれやすい位置だったのでマステを貼りました。
23:15。あれあれ?bの方が発酵が進んでいるような……。
0:00、bが2倍量に到達。4時間かからないとは早い。a、量は増えているけど、気泡が小さいな……。
0:45、aが2倍弱になったところでやめました。寝る時間を大幅オーバーしているので……。
蓋を取ると、aの種がかなり緩い。昨日はbの方が緩かったのに……。
匂いを嗅いでみると、bからはアルコール臭がしなくなっている。そして、aから酸味のある匂いが……。どこかで乳酸菌が入った?!夕食のぬか漬け?
この急な様子の変化、どこかで雑菌混入があって、そのせいで勢いが落ちた可能性がある。
結果
うーん、何とも言い難い結果ですね。aの方が最後まで元気でいてくれたらわかりやすかったのに。
最初にアルコール臭がしたり、序盤の発酵スピードが遅かったbも、最後で巻き返さなければ考察もしやすかった……。
今回の観察でわかったのは、ほどほど発酵でも、オリが出るまで待っても、液種としては十分使えるということでしょうか。
じゃあどっちでもいいじゃん、となりそうですが、もしかしたら、オリが出るまで液種を育てた方が、中種を継ぐときの持久力があるのかもしれません。時間差で発酵力を発揮するとか?アルコールが多く含まれて雑菌に強くなるとか……?
もちろん、ちゃんと顕微鏡などで酵母の様子を目視したわけではないし、今回の実験の一回きりの結果からの考察でしかありませんが。
とにかく、オリが出るまで育てるのにはちゃんとした意味があるということですね!
これら中種の行く末は
この2瓶の中種ですが、途中で疲れ果てたaは一回パンを作ったら残りはクラッカー行き。酸っぱめのパンが焼けました。
最後で逆転勝ちしたbの方は明日もう一回、2種類の粉に分けて継いでみます。bは次回は50gずつに分けて(残りはパンとクラッカー)、やはり同じ条件で粉を変えて観察しようと思っています。
さすがに薄力粉は厳しいと思うので、うどんに適した中力粉(粗たんぱく9.7%)、パンに適した強力粉(粗たんぱく12.0%)で様子を見てみることにします。
これも色々試行錯誤して、できた中種でパンを作って食べて、お腹を壊してないか確認して……となるため、更新は何日か後になると思います。
ということで今回はここまで。最後までお読みいただきありがとうございます。
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