少し前に干し柿酵母・りんご酵母にチャレンジした際、家にあるスーパーキングを使って中種起こしをしていたら、リスドォルで起こしたときと様子が違うことに気付きました。
そもそも、中種起こしはどんな粉ですればいいのかというのがあまり明確ではありません。
ある本では準強力粉というし、ある本でははるゆたか、春よ恋というし、海外の人は当然外麦を使っているだろうし、SNSを見ると中力粉、ライ麦粉などで起こしているのも見かけます。
ここで、
中種起こしに使う粉はなんでもいいのか?粉によって発酵度合いに差が出るのか?
この点がちょっと気になったので、自分で2種類の粉を使って同じ酵母から同時に種起こしをしてみます。
今回使う中種の元となった液種はりんご酵母。今回使用のものではないですが、ぼけたりんごで酵母を起こしている様子を少し前にUPしています。
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天然酵母のパン作り一覧
全粒粉1回、準強力粉で2回継いだ種を中力粉・強力粉で継いでみる
本当は液種から別々の粉で起こした方がわかりやすかったかもしれませんが、倍々と増えるため出来上がった中種が消費しきれなさそうなので、一回こっきりで差を見たいと思います。
ここで使うのは、先日作ったりんご酵母液種+全粒粉で1回、それを使ってリスドォルで2回継いだ中種です。それを一晩寝かせ、50g、いや52.3gずつ取り、同サイズの瓶に入れます。
それぞれ水50gでのばして、粉50g投入。
中力粉はいつも餃子の皮やうどんを打つのに使っている道産小麦のフユエゾ(粗たんぱく9.7%)。安くて癖もなく美味しい小麦粉です。
強力粉の方は、本当は「最」強力粉が良かったのですが、スーパーキングがもう残っていなかったので、家にあった外麦、イーグル(粗たんぱく12.0%)を使用します。スーパーキングよりはたんぱく質量が低いんですけどね。でも3%も違いがあれば差は出るだろう。
練り合わせている段階でもう差が出ている。中力粉の方が緩い。これがたんぱく量の差ですね。
11:00 開始
フユエゾは相変わらず緩い。イーグルは種にコシがあるせいか、最初から空気を含んでいる。
13:00
2時間後。
この時点で双方順調に育っている。大きな差はない。粉の違いは種の成長には関係ないってことだろうか。
14:00
さらに1時間後、ここにきてイーグルの方が嵩が増している。
蓋を取って表面を見ると、フユエゾの方はガスが上に抜けた痕跡がある。たんぱくが低いからガスを抱えきれないということでしょうか。
14:11 イーグルあがり
14:11分、イーグルが倍量に到達しました。ちょっと離れた隙に膨らんだのね。
真ん中から盛り上がって元気いっぱい。いいパンが焼けそう。
15:00 フユエゾ打ち止め
それから1時間ほどフユエゾの様子を見ましたが、これ以上嵩は増えないようです。というか、種落ちしてる……。
やっぱり発酵してガスを生み出すたびに上から抜けているような感じ。水っぽく、ちょっと泡立ってる。
でも酸っぱい系とかセメダイン系などの変なにおいなどはしないし、ダレているのではなく粉自体の性質のせいで気が抜けているだけですから、酵母はしっかり増えているはず。
だから、失敗ではなくここで完成ということにしたいと思います。冷蔵庫へ。
結果
粉の性質の違いで、成長の様子にも違いが見られることがわかりました。
同じ酵母を使って同じ環境で育てれば、どちらも同じスピードで発酵はするが、粉が強くなければ途中でガスが抜けてしまい、完成の目安を逃しやすい。
もちろん、中力粉の中種でパンが焼けないということではなく、慣れた人は体積の変化にこだわらなくても、どんな粉でもいい中種を育てられるのだと思います。
でも、私のように不慣れな人間にとっては目視が一番の目安。だから、初心者向けの本は「2~3倍になったら使い時」と判断できる強力粉の使用を推奨しているのでしょう。
今回の実験で、強力粉を使う理由や、逆に、完成を見逃さなければ中力粉でもいけることが分かったので良かったです。
意義のある実験でした。
完成した中種の行き先は
今回作ったタネは、イーグルは既に食パンにしました。
とても調子のいい中種に育ってくれたようで、こんなに立派な食パンになりました。味も酸っぱくない!
フユエゾの方はまだ使っていません。鮮度が落ちていると思うので、もう一回くらい継いで何かしらのパンにする予定です。これもここで使い切ろう。
次は在庫のパンを食べきる頃、また液種から新しい中種を起こします。
ということで今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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