「ガトーウィークエンド」、つまり週末のケーキというお菓子があります。
日を置くと生地がなじんで味わい深くなることから、作った当日ではなく数日置いて食べるのが美味しいとされるお菓子です。
フランス菓子を置くお店でよく見かけますし、家庭で作るレシピもたくさんあります。
ですが、どれも私が調理専門学校に通っていたときに教わったものとは違う気がするのです……。
当時のレシピを見返したいのですが、なんせ卒業から20年近く、その間の度重なる引っ越しを経て、紛失してしまったのです。
でも、どうしても食べたい!今ちょうど昨冬作ったいよかんピールがあるし、記憶を頼りに作ってみようと決意しました。
さて、思い出の味は再現できるでしょうか……。
覚えていること、忘れていること
まず、記憶を整理していきたいと思います。
すると、意外と覚えていること、忘れていることがあるもんです。
はっきり覚えていること
- 基本的にはパウンドケーキの作り方だった
- 使用する材料は小麦粉、卵、粉砂糖、バター、アーモンドプードル、オレンジピール、グラスアロー(粉砂糖とレモン汁)
- オレンジピールは数日前からブランデーに漬けておく
- パウンドケーキのようにこんもり膨らませない(低温でじっくり焼く)
- グラスアローを塗って紙できっちり包んでおけば永遠にもつ(マジか)
- 上面にピスタチオを刻んで飾り付けた
- 超うまい
うろ覚え
- アーモンドプードルを粉砂糖と一緒にふるったような気がする
- いや小麦粉と一緒にふるったのかも
- アーモンドプードルと一緒にふるう粉は同量
- アーモンドプードル&粉は後半入れた気がする
- 薄力粉だけでなく強力粉も使ったような……
- オーブンの温度は160~180℃の間くらい?
不明
- 別立てか共立てか不明
- 焼き時間
- 分量
↑焼き時間はともかく、分量不明な時点で、どうなんでしょう……
ネット、書籍の情報を調べると……
手持ちのお菓子本の何冊かにも「ガトーウィークエンド」という名前のお菓子が掲載されているのですが、それはいわゆる「ウィークエンドシトロン」、レモンケーキなのです。
オレンジ皮の甘煮ではなく、すりおろした生レモンの皮を入れるやつ。
そして作り方は溶かしバターで作るマドレーヌのような作り方だったので、私が学校で教わったのとは違う。
じゃあネットだ、と思い調べてみます。
アーモンドプードルとオレンジピールが両方入るタイプというのは見かけない。どちらか一方が入るものでも、私が思っているのとは違うような……。
また、アーモンドプードルのみ入るタイプでも、アーモンドプードルと粉砂糖を一緒にふるうというのは一つもない。
もしかしたら私の記憶違いで、小麦粉と一緒にふるったのかも?
これらの情報を頼りに、作ってみます。
うろ覚えガトーウィークエンド
前述の通り、うろ覚えで作ります。うまいことできるといいけど……。
今回は強力粉は入れない説、そして薄力粉とアーモンドプードルを合わせてふるう説を採用します。
そのためパウンドケーキ(カトルカール)レシピを基本にし、半分の薄力粉をアーモンドプードルに差し替える形になりました。
オレンジピールとグラスアローの甘さがあるので、生地本体の粉砂糖は1割ほど減らしています。
手順は共立て法で作ります。なぜなら、ひっくり返してから飾り付けるのであまり膨らませない方が良いという記憶があるためです。
焼き時間はこのサイズの型でパウンドケーキを作る時の時間、50分でいってみます。
材料(24cmパウンド型一本)
薄力粉 100g
アーモンドプードル 100g
粉砂糖 180g
バター 200g
卵(M玉) 4個(飛ぶ鳥農場さんの海の街たまごを使っています!)
オレンジピールのブランデー漬け(自作のいよかんピールを使っています)100g
↑みじん切りにしてひたひたのブランデーを注いで冷蔵庫で3日以上置く。
【グラスアロー】
粉砂糖 大さじ5
レモン汁 大さじ1~1.5くらい
作り方
- バター、卵を室温に戻しておく。型に合わせて切ったオーブンシートをかぶせておく。オーブンを170℃に予熱しておきます。
- 薄力粉とアーモンドプードルを合わせてふるう。目の細かいふるいだとアーモンドだけが残りますが、根気よくふるいます。
- 室温に戻ったバターに粉砂糖を全て入れ、泡立て器やハンドミキサーで白っぽくなるまで混ぜる。
- 3に溶いた全卵を少しずつ加え、その都度混ぜる。一気にたくさん入れると分離するので、少しずつ。
- 全卵が全て入ったらゴムベラに持ち替え、2のふるった粉を一気に入れてさっくり混ぜる。
- 8割がた混ざったらオレンジピールを加え、さらにゴムベラでむらが無くなるまで混ぜる。艶が出るまで、結構しっかりめに混ぜます。
- 6を型に入れ、表面を均等にならして170℃のオーブンで50分焼く。
- 焼いている間にグラスアローを作る。レモン汁と粉砂糖を混ぜて緩めのペースト状にする。
- 焼き上がったケーキを型ごと台に打ち付け、蒸気抜きをする。型から外し、網の上で冷ます。結局こんもりしてしまった……。せっかくなので、ひっくり返さずにこの形状のままでいきます。
焼き時間は50分で中まで火が通りました。もう少し焼き色が付いた方が好みですが、この色でもまあキレイなのでここで加熱終了とします。 - 粗熱が取れたら8のグラスアローを上面に流しかけ、あればピスタチオなど飾る(無かったので省略)
※適度な固さのグラスアローならしばらく置けば乾きますが、緩くていつまでもベタベタしているようなら、200℃のオーブンに1~2分入れて乾燥させます。
すぐに食べるより、3日くらい置いた方が美味しいケーキです。平日に作って週末に食べるからガトーウィークエンドだそうな。
本当に紙で巻いておけば永遠にもつのだろうか。いつもすぐに食べきってしまうので、実証したことはありません。
本当にあの頃の味か……?
さて、グラスアローが乾いたところで食べてみます。
見た目はパウンドケーキ。いよかんの香りがします。
でも、こんなにしっとりしていただろうか?もっと粉感があった気がする。
やっぱり、薄力粉と強力粉を混ぜて作るべきだったかも。
そして、アーモンドプードルは粉砂糖とふるうべきだったかも。(そうすると小麦粉の量を減らさずに済む)
だとすると、アーモンドプードルを後の方に入れる、という記憶が間違いということになる……。
また、これは焼いた当日なのでまだ中がプルプルというか、締まっていません。
涼しいところに置いて一晩経過させてからだとまた違うかもしれません。
次回は、粉砂糖とアーモンドプードルを合わせてふるい、強力粉と薄力粉を混ぜてみようと思います。
→再チャレンジして思い通りの仕上がりになりました!(5/13更新予定)
うろ覚えの理由
レシピを紛失したのは痛手ですが、それでも何とか食べられる代物ができました……。
でも、当時作ったものとは違うと思います。もう20年近くも前ですが、味はちゃんと記憶しています。
私が覚えている範囲のレシピにも、多少の誤解があるかもしれません。
それは、調理師専門時代が一番家でお菓子作りをしていた頃で、このガトーウィークエンド以外にもいろんなお菓子を何度も作っていたからです。
つまり、色々なお菓子の作業工程がごっちゃになっている可能性があるということ。
本当は学校に問い合わせたいところですが、実はもう、その学校は無いんですよ。(別な学部がメインになってしまった)
講師としていらしていた先生(市内で洋菓子店を開いていました)も閉業している。あの時点で60歳オーバーだったので、存命かどうかも怪しい……。
あの味を再現できるようになるまでは、独自でレシピを再考する必要がありそうです。
ということで今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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