人に見せるのはちょっと恥ずかしいのですが……。
これ、サンプルロースターを購入するまで自家焙煎に使っていた自作の手網です。
ニトリで買った金属の盆ザルにワイヤーハンガーを引っ掛けて、持ち手の部分はビニールテープでぐるぐる巻きにしています。
そしてザルの首がぐらつかないように、太いワイヤーを一本渡して固定しているという、なんともチャチな造り。材料費、全部で1500円くらいだったはず……。ほとんどが盆ザルの値段。
もう10年近くしまい込んでいたこの手網を使って、久々に手網焙煎していこうと思います。
自作の手網は理由あって蓋なしです
一般的な市販の手網はこんな感じですよね。蓋がついてる。
でも、自作のはある理由があり、敢えて蓋ナシにしております。
蓋は豆がこぼれないように付いているものですが、自作手網の盆ザルは意外と豆がこぼれにくい。
そして、焙煎中に虫食い豆などを発見した時に除去しやすい(焙煎し始めてから黄色っぽくなってくると虫食いが目立ちますよね)。
もう一つ、焙煎中に浮いてはがれたチャフ(薄皮)を吹き飛ばせるのが蓋なし手網最大のメリットです。
詳しくは焙煎している画像を見ながらご説明しますね。
生豆を洗うメリット
今回は手網焙煎ということで、焙煎前に生豆を水洗いします。米を研ぐようにシャシャッと、軽く洗って水を捨てるを2回くらい繰り返す。
今回は洗いますが、生豆を洗うか否かはコーヒー屋さんごとに違うようです。雑味を除去するためとか、汚れとチャフを洗い流すためとか。また、洗うと味が抜ける、生臭く仕上がるという人もいます。
私が焙煎を教わったお店は洗わないとのこと。それでも雑味なく美味しいコーヒーを提供しているので、必ずしも洗う必要はないのだろうと思っています。
だから普段のサンプルロースター焙煎では豆を洗いません。洗うとロースターの小さい口に入れにくくなるし……。
しかし!なぜ手網焙煎のときだけ洗うのかと言うと、それは「洗うと焙煎中にチャフがはがれやすくなる」ためです!
チャフが焦げる前に大きくボロリとはがれるので、焦げてしまう前に除去しやすいし、小さなカスが周囲に飛び散りにくくなります。
また、チャフが焦げる匂いや煙が出にくくなり、浅~中煎りくらいなら室内で焙煎してもそれほど焦げ臭くならないのもいい。
こんな理由で今回は洗いますが、これは個人の好き好きですね。
では手網焙煎を始めていきます
24cmの盆ザルから作った手網だと、200~250gくらいの生豆がちょうどいいと思います。
今回はエルサルバドル エルカルメン農園の生豆を焙煎していきます。
前にサンプルロースターで煎ったときはハイローストとシティの間を目指したものの、思ったより深煎りに。今回は浅めにミディアム~ハイローストの間くらいを目指します。
セッティングしている画像を撮り忘れたのですが、後始末がしやすいように周囲に大きな紙を敷いて、その上にカセットコンロを置いています。また、近くに物を置かないようにします。
もちろんカセットコンロの火が敷紙にうつらないように注意も大事。
200g計量して洗った生豆を手網に入れ、最初は豆を乾かすようにしてカセットコンロで揺すりながら煎る。
水分によってくっついていた豆が乾いて、次第にザラザラとよく転がるようになります。
豆がぱらぱらになって色が明るくなってきたら火を中弱火に落として揺すり続ける。手網は火の上10cmくらいです。
中弱火にして5分くらい、焙煎開始から10分後あたりで丸みを保ったままのチャフがはがれて、豆の上に溜まってきます。
見えにくいでしょうかね、このチャフを空気を吹き込んで飛ばしてしまいます。
自宅消費用の豆なので今回は息を吹き込んじゃいますが、他人にあげるときは団扇であおいだりしてうまいことチャフを飛ばします。
このように、豆が茶色くなる前にチャフを除去すれば、余計な煙が出にくくなります。
チャフが大体出きったら強めの中火に火力を上げ、引き続き手網を揺すります。
そこから5分くらいしたらいわゆる1ハゼ、ビチバチという音が鳴り始めます。
こんなシナモン色でもう1ハゼ。サンプルロースターとはタイミングが違います。
ここからは本当に早いですよ!1ハゼ開始からたった1分でこれくらい色づく。
ここからさらに2分くらい、1ハゼが終わるくらいまで焙煎し続け、ハイローストの色になったところで今回は完成とします。
焙煎開始から20分かかっていない!サンプルロースターより早い。
画像では黒っぽく映っていますが、肉眼で見るともう少し明るい色です。
豆は風を当てて冷ます。サーキュレーターが楽です。
冷めた豆から、色づきが悪いものや形が変なのを取り除きます。
200gの豆から168g。歩留まり84%ってとこですか。
ちなみに、周囲に散らばったチャフを集めるとこんな量になりました。
吹き飛ばしたおかげでまだ白っぽいまま。このチャフに引火した時の匂いと煙が、室内に残りやすいんですわ。
翌日ペーパードリップで頂きます
焙煎当日はまだコーヒーのいい香りが出ていないので、最低一晩は置きます。
4日くらい寝かせるのが理想とも言いますが、早く味見したかったので翌日飲むことにしました。香りもちゃんと出ているようです。
お湯は90℃くらいです。
ちょっと濃かったか?
上品な酸味のブルボン種、これくらい浅煎りだと酸味が先に来る。
でも、一口目にキュンとする程度の酸っぱさで、ごくごくと飲みやすいです。
苦みもまだ強く出る前の焙煎度なので、甘味がよくわかります。生臭さ、豆臭さもありません。焙煎成功ですね。
いい感じに煎れました。満足です。
手網焙煎のメリットは
改めて手網焙煎をしてみて、気付いたメリットとデメリットを書き出していきます。
メリット
- 道具が安く手軽に始められる(手作りもできる)
- 焙煎度の変化がわかりやすい
- チャフが焦げる前に除去できる
- 時間がかからない
デメリット
- 少量しか焙煎できない
- 焙煎ムラが出やすい
- (深煎りの場合)煙がガンガン出て室内が煙い
- チャフの後始末が大変
- 腕が疲れる
こんなところでしょうか。
ちょっとだけ焙煎したいときは手網をもっと使います
数年もの間しまい込んでいた自作手網でしたが、こんなにスピーディに焙煎完了するなら、サンプルロースターと併用してもいいかなと思いました。
サンプルロースターは少量だけ煎るのが難しいので、併用すればうまくお互いの欠点をカバーしている状態になります。
お菓子などのために少量だけ深煎り豆が欲しいとか、試しにちょっとだけ浅煎りにしてみたいとか、そういうときに手網はとても便利です。
これから焙煎を始めたい、でも何万円も出してロースターを買うのはちょっと……という人は、手網焙煎から始めてみてはいかがでしょうか。
盆ザルとワイヤーハンガーでも手網は作れますよ……。
ということで今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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