つい先日、「貧乏人のスパゲッティ」という料理について、炎上した案件がありましたね。私個人でいうと「貧乏人の~」というネーミングには全く悪い印象は無く(「下町のナポレオン」などと同じニュアンスと捉えていました)、そんなことで目くじら立てられるほど、日本は貧しくなっちゃったの?!と一瞬ドキッとしてしまいました。
が、よくよく見たら発言者を叩きたい民衆の餌食になっただけのようで、なーんだと安心した反面、こんなことでも叩かれるのは気の毒だと思ったりも……。
さて本題に戻ります。今回炎上案件となった「貧乏人の~」という料理、調べてみると結構あるんですよね。それだけ、貧乏でも安くて美味しいものが食べたいという思いを抱く人は多いということでしょう。
今日は、「貧乏人の~」と付く料理などを紹介していきます。
貧乏人のスパゲッティ
まず、冒頭でもお話ししたこちら。イタリア語では「スパゲッティ・ポヴェレッロ(spaghetti del poverello)」訳すとまんま「貧乏人のスパゲッティ」です。
ペペロンチーノに卵とチーズを入れた、ボリューム満点のシンプルスパゲッティです。
せっかくなので作ってみました。レシピはたくさんあるようですが、今回は具にも、トッピングにも卵を使うレシピを採用。
にんにくと一緒に目玉焼きを焼いて、ひとつは半熟で取り出し、もう一つはしっかり焼いて崩しながら粉チーズやゆで汁と煮詰めて、麺に絡めて作ります。
卵派もっと縁がカリッとするくらい焼いた方が良かったかも。
にんにくの香り、卵とチーズのコクでガツンと胃にくるスパゲッティでした。ただ、「貧乏の」と付く割に、卵もチーズも安くないので、真に貧乏だったらペペロンチーノの方が適切だと思いました。
そして、ガッツリしているので、あまり量を作りすぎると途中で飽きる(笑)
貧乏人のアスパラガス
フランスには「貧乏人のアスパラガス」というものがあります。これは、西洋野菜のひとつポロネギを指す、いやいやそのポロネギをスープ煮にしたものを指すのだ、果てはポロネギではなく長ねぎをスープ煮にしたものを指すのだと言う人もいて、はっきりしません。
ポロネギであれ、長ねぎであれ、高価で、しかも季節もののアスパラガス(おそらくフランスで愛されるホワイトアスパラガスのことでしょう)の気分を安い食材で味わおうという、グルメ大国フランスらしい粋な言い回しだと思います。
せっかくなので、長ねぎのスープ煮バージョンの「貧乏人のアスパラガス」を作ってみました。日本ではポロネギだと高くついてしまって、貧乏料理にならないため……。
長ねぎのスープ煮はうちでも冬によく作る料理で、アスパラに似てる似てない関係なく、甘くてとろっとして美味しいです。高級食材の代用料理と呼ぶのが気の毒なくらい、長ねぎの美味しさが引き出されています。
貧乏人のキャビア
キャビアと言えばフランス三大高級食材の一つですが、それにあやかる目的なのか「貧乏人のキャビア(Caviar du pauvre)」という料理も存在します。これにはもちろん本物のキャビアは使われておらず、焼きナスに香辛料、そして海産物っぽい風味を出すためのアンチョビなどを入れて作ったペーストです。
なすとキャビアはだいぶ違うもののように思いますが、キャビアにそっくりではなくても、この料理自体とても美味しいもので、カリカリのバゲットなど添えれば、フレンチの前菜やおつまみにぴったりです。
ちなみに、アラブ圏にも「ババガヌシュ」というなすのペースト料理がありますね。アンチョビは入りませんが、これと貧乏人のキャビア、よく似ていると思いました。
今、なすが貧乏人には高いお値段なので再現はしていませんが、そのうち作って写真を載せたいと思います。
貧乏人のフォアグラ
貧乏人のキャビアがあるなら貧乏人のフォアグラやトリュフもあるのでは?!と思って調べたところ、やっぱりありました、貧乏人のフォアグラ。(トリュフは見つからなかった)
ただ、こちらはそういう料理のレシピがあるわけではなく、東京にあるフレンチのお店で、フォアグラではなく鶏(豚かも)のレバーを使ったパテを、「貧乏人のフォアグラのパテ」という名前で提供しているそうです。
味はフォアグラそのもの、というわけではないみたいですが、これはお店のネーミングセンスが素晴らしい。ただの「鶏レバーのパテ」とメニューに書くより、「貧乏人のフォアグラのパテ」と書いた方が食べてみたくなりますもんね。
貧乏人のシャンパン
スプリッツァーという、白ワインと炭酸水のカクテルをご存知でしょうか。
これ自体が貧乏人の代用食品というわけではないのですが、あるイギリスのミステリ作家が「シャンパン好きのジェームス・ボンドが貧乏になったらきっとスプリッツァーを飲むだろう」ということから、スプリッツァーに「貧乏人のジェームス・ボンド」という呼び名を付けたそうです。
ストレートに「貧乏人のシャンパン」と呼ばずに、「貧乏人のジェームス・ボンド」とちょっとひねって名付けるあたり、イギリスっぽいというか。
せっかくなので、安ワインと炭酸水で作ってみました↓
いつも料理に使っている紙パックの白ワインと、ペットボトルの炭酸水。ただこの炭酸水、少し気が抜けている。
もっと新しい、開栓したての炭酸水で作ればもっとシュワシュワしたんだろうな……。
でも、これでも十分美味しかった!シャンパンには及びもつかない味だとしても、弾ける炭酸とぶどうの香りが爽やかで、とても飲みやすかったです。
お酒にとても弱い私には、アルコールが薄まっているという点も良かった。
「貧乏人の」というネーミングはむしろ魅力的
この記事を書きながら、頭に「貧乏人の」と付く料理には、下の句に高級品の名前が付くものが多いなぁと感じました。スパゲッティは違いますが、キャビアとかシャンパンとか……。
本物と比べれば劣るとしても、この安い食材でこんなに美味しいなんて!と、感動させてくれるだろうという期待を抱かずにはいられません。
だって、安くて美味しく、お金が無くても高級食材を食べている気分を味わえるなんてなんて最高じゃないですか。
これからも、貧乏人の料理を探して色々試してみようと思います!
ということで今日はここまで!
最後までお読みいただきありがとうございます!
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