少し前(と言っても一年以上前)に、cottaの無水調理鍋でカンパーニュがうまく焼けるようになった、とコメントを下さった方がいました。
その口コミから「これはいつか欲しいな」と思い続けて一年。コメントを頂いた当時はバゲットか食パンばかりを焼いていたので、すぐに購入には至らなかったのですが……。
自家製天然酵母を始めるとカンパーニュを焼く頻度が上がりますよね。(天然酵母の食パンや菓子パンはまだまだうまく焼けない)
そして、カンパーニュを焼き始めると、最初は「味さえよければいい」くらいの気持ちで焼く→慣れるとやっぱりクープがメリッと開いたカンパーニュが焼きたい、というふうに気持ちが変化するタイミングがあるんですよね。
私にとっては今がまさにその時で、色々試しても美しくないフォルムのカンパーニュしか焼けない今こそ、cottaの無水調理鍋を買う時ではないかと思い、早速買ってみたわけです。
さすがに初回から理想のカッコいいカンパーニュが焼けたわけではありません。そりゃ道具を変えるくらいでは劇的に変わりませんよねぇ。
ということで、cottaの鍋を使いつつ、色々と変えて試し焼きした記録をご覧ください。
cottaの無水調理鍋(24cm)
cottaの無水調理鍋は3種類あって、ラウンド深型は直径20cmと24cm、浅型は直径26cmとのことでした。
とはいえ、カンパーニュを焼く目的なら深型24cm一択。購入時は25%オフで、税込み4868円。25%オフと聞くとお得感が大きいですよね!
買い逃した方もまだチャンスはあります!このお鍋、頻繁にセールしているようですよ。
購入して届いたものがこちら。見た目の重厚感に反して、軽い!片手の平に乗せて持てるくらいです。家にあるルクルーゼ18cmではこんな持ち方、絶対無理。
軽い分保温性がどの程度か気になるところですが、この手の鍋は棚からの上げ下ろしが大変なので、軽いのはありがたいです。
中は真っ黒で、ざらりとしています。
蓋部分は筋状に凹凸があって、蓋だけでも火にかけて使える仕様というのがいい。
この鍋はパン焼きをメインに使うつもりなのでオーブンに入るかどうかが重要!
心配ご無用、うちの石窯ドーム(容量31L)にジャストサイズ。さすがcotta、よく考えられている。
この鍋を使ってカンパーニュを焼いていきます。
1回目 りんご酵母中種法 水分75% タイプER
本当はcottaのページ内「無水調理鍋で焼く、職人カンパーニュ」のレシピで初戦に挑むべきだったのですが、あちらのレシピはホシノ天然酵母を使用しているので、配合は過去に比較的うまくいった自家製天然酵母の中種法(20%)に合わせています。作業工程はレシピ通りです。
粉は北海道産のタイプER。
それで、水分を75%で生地作りをしているのですが、これが思った以上に緩い。70%くらいにしておくべきだったな。
緩くてクープがうまく入らない。この時点でカッコいいカンパーニュにはならない覚悟ができている。
結果↓
ちゃんと鍋ごと予熱して焼いたのですが、いわゆる「のっぺりクープ」状態に……。
でも断面を見ると、ちゃんと膨らんでいる。そして味も良い。クラストの焼き加減がちょうど良かったです。気泡の入り方はいまひとつ。
この仕上がりは、もしかしたら酵母の出来の悪さも影響しているのかもしれない(同じ酵母で別なパンを焼いて、あまりうまくいかなかった)
鍋が良くても生地が悪ければうまく焼けるわけがない。当然ですね。
2回目 りんご酵母中種法 水分63% タイプER
次は一気に水分を63%に減らしてチャレンジ。この63%というのは、cottaのレシピにある水分量です。粉300gに対して水190ml。
でもやっぱり自家製酵母の中種法なので、中種は20%、60g入れる。ホシノの生種よりはかなりたくさん入る。
なお、ここで使用した中種はいい感じに成長した元気なもの。
そして作業工程もcotta公式にある通りです。おまけに、クープを上手に開くことを最優先として、剃刀をオイルに浸して切るというチート技も実践済み。
↓
クープはもこっと割れたが、一方向のみ。これは剃刀に油が多くついているか、少ないかの違いだと思います。
剃刀に油を付け直さなかったため、一太刀めの方が必然的に油が多くなり、二太刀めは油少なめになったのがこの仕上がりの原因ですね。油の威力を思い知る。
断面。水が多くないため高さがしっかり出ている。気泡の入りのバランスはともかくとして、カッコいいカンパーニュと言えましょう。
味は悪くないんですが、水分が多いカンパーニュばかり食べていたせいか、このカンパーニュだと若干喉に詰まる感じがする。
味で言うと、高加水のカンパーニュの方が好きなんだよな……。
3回目 1回目と同じレシピで成型後冷蔵発酵 タイプER
高加水かつクープがカッコいいカンパーニュを諦めることができず、再チャレンジ。
今回は成形後冷蔵発酵、つまり一次発酵はそこそこに成形して、少し室温に置いてからまる一晩ほど冷蔵庫に入れて発酵(熟成?)させて、生地が冷たいうちに焼く方法を採用します。
酵母も前回と同じく上出来のもの。
予熱開始と同時に冷蔵庫から出し、20分ほど復温しています。
これだと生地が締まっていてクープが入りやすい。剃刀油のチート技、今回も使います。
焼きの温度は過去2回と同様です。
焼けました。んん~、2回目の方がカッコいいクープだな。
でも一部ちゃんとメリッと割れていて、ここから湯気がシューシュー出ている。
そして断面、ちょっと潰れ気味ではあるが、一番好きな感じの気泡の入り方。
味は一番美味しい!やっぱり高加水カンパーニュが好みです。
4回目 3回目と全く同じレシピで酵母と粉を変えてみる
3回目まではタイプERという粉を使用していたのですが、どうも扱いづらいというか、長時間発酵させるとドロドロになって、成形しても焼いても高さが出ない気がしていました。色々なパン本で「タイプERは味はいいけど扱いにくい」と見たことがあるし……。
ということで、そろそろタイプERも無くなりかけている4回目、新しく買った粉「ヌーベルバーグ」に切り替えてみました。
それ以外は、りんご酵母がもう無いので最近起こしたレーズン酵母を使っています。(とても出来が良い)
工程と分量は3回目と同じ、そして成形後冷蔵発酵。
画像は無いのですが、すっごい作りやすかったです……。べとついたりダレたりすることは無かった。タイプERには米麹粉末などが入っていて、それが生地をダレさせていると予想。ヌーベルバーグには添加物が入っていません。
今回はオーバルの発酵かごを使っているので、クープは一本。
そして剃刀に油を仕込んで無水鍋で焼いたところ!
メリメリというより、バカッと開いたクープ!大成功!
断面。しっかり高さが出て、気泡が大きく入っている。皮は焼き色の割に柔らかく、押すと潰れてしまいそう。
味はタイプERよりもあっさりめです。添加物の有無が味に影響しているんでしょう。
でも、このあっさりタイプも美味しいです。おかずと食べてちょうどいい味わい。
パン焼きにも料理にも使っていくよ
4回目にして満足のいくカンパーニュが焼けました。この後も何度もカンパーニュを焼いていますが、りんご酵母からレーズン酵母に切り替えたあとは、ヌーベルバーグなら概ねきれいにクープが開いています。
最初うまく焼けなかったのは鍋の性能ではなく、酵母の質と粉のせいだったんですねぇ。
買って良かったです。安くなったタイミングということもあり、満足感は想像以上です。
この鍋はパン焼き以外にもどんどん使っていく予定です。
うちには18cmのルクルーゼと26cmのストウブがあるのですが、18cmでは足りない、26cmでは鍋大きすぎという量の料理をするときにいつも困っていたので、この無水調理鍋が間に挟まることによって、調理量と鍋サイズの兼ね合いがとれて、より便利になりそうです。
また、蓋部分の溝が肉などにいい焼き色を付けてくれるので、オーブン焼きハンバーグとか、チキンソテーやステーキもカッコよい出来が期待できます。
ということで、総合評価は☆5つ!
以上、cottaの無水調理鍋レビューでした!
コメント
こんにちは〜(^o^)
先日cottaのHPで鍋を見かけて気になっていたので、かなりタイムリーな記事でした!
鍋でカンパーニュは何度か挑戦しているのですが、のっぺりクープになってしまって上手くいかないことが多くて…普通に焼けばまだそんなこともないのですが。何故なのでしょうかね。
だからぜひ成功させてみたいと思っていたんです。
レポ、すごく参考になりました!ありがとうございます〜!
ちゃちゃまるさん、こんばんは!
私は普通に焼いた方がのっぺりクープになるので、鍋さえ買えばうまく焼けると思っていたのですが、それは甘かった……。
配合を変え粉を変え、と色々試してやっとクープが開きました。
きっと、同じようなところで引っかかっている人もいると思ったので記録をとって記事にしてみました。
早速お役に立てたようで嬉しいです!